仲良しさん。
「もう染めないの?」
「なに、ソフィー? よく聞こえなかった。」
「……髪、もう金髪にはしないの?」
以前は、あんなにこだわっていたじゃない。
でも、もう随分と黒い髪のままだったなあ、と思って。
銀髪の少女がふと思ったことを口にすれば、目の前の青年は蕩けそうな極上の笑顔を浮かべました。
「……だって、ソフィーが言ったんじゃないか。」
「え?」
「きれいだって言ってくれたんだよ。忘れちゃったの?」
と悪戯っ子のような顔をしてハウルは少しわらった後、
「ソフィーがそう思ってくれてるなら、黒髪も悪くないかなって。でも、もし金髪の方が良かったんならすぐにそうするけど?」
だって、ぼくはソフィーにぞっこんだから。
ソフィーがきれいだって言うのなら、ずっとそんなぼくでありたいし。
なんたって、ぼくはソフィーの一番で居たいからね!
と、こちらが赤面しそうな恥ずかしい台詞を臆面もなくぺらぺらと喋ることが出来る美貌の青年に、ソフィーの口はぱかっと空いたまま固まります。
「ソフィー、そんなに無防備にしてると隙だらけだよ?」
なにが、と返そうとした少女の言葉は口から零れることはなく、彼の唇で塞がれてしまいます。
ちゅっ。
一瞬の出来事に、彼女の目は大きく見開かれたまま。
自分の唇に青年の其れが触れたのだと、脳内で理解する頃には、唇は離れて青年の顔は少し距離を保った場所にありました。(しかし、それとて数センチ程の距離でしかありませんでしたが。)
「な、な、な…!」
なにするの、いきなり!
と言いたかったのですが、動揺したソフィーの口はうまく回りません。
「ほらね、隙だらけ。危ないから気をつけて。」
2005/05/19